エルゼビアとLG AI Research、画像から未活用の化学情報を抽出する新たな取り組みを推進
2026年9月15日
化学分野に特化した新しいAI画像認識技術により、これまで画像内に埋もれていた化学情報が検索可能なエビデンスとしてReaxysで利用可能となり、研究者がより迅速かつ確かな意思決定を行えるようになりました。
ソウル、ロンドン、2026年9月15日 - エルゼビアとLG AI Researchは、これまで検索では捉えきれなかった化学情報を研究者が特定できるようになったことを発表しました。研究者は今後、特許や学術文献の画像、構造式、反応スキームにのみ示されている物質も特定できるようになります。
画像内の化学情報は、従来、人手による抽出も機械による処理でも大規模なデータ化が難しい領域でしたが、LG AI Researchが開発した化学分野特化型のAI画像認識技術により、エルゼビアの化学研究支援ソリューションであるReaxysのコンテンツ抽出・キュレーションプロセスで活用できるようになりました。これにより、特許や学術論文の画像に含まれる物質情報を、かつてない規模と精度、スピードで抽出することが可能になります。その結果、Reaxysを支える物質、反応、生物活性、生物学的ターゲット、物性データに関するエルゼビアのコンテンツ基盤と科学的キュレーションが一層強化されます。
Why it matters
化学者が活用する物質や反応に関する情報の多くは、検索可能なテキストではなく、図や構造式、反応スキームの形で掲載されています。そのため、こうした化学情報が検索できない場合、化合物や反応が既に報告されているかどうかを確認するために、研究者が文献を一つひとつ手作業で調べなければならないことがあります。こうした情報を大規模に検索・活用できるようにすることは、専門性の高いAIでは難しい課題です。そして、化学構造式では、結合、原子、立体化学、さらにはそれらの空間的な配置によって意味が表現されます。結合を誤って認識すると別の化合物として識別される可能性があり、構造の一部を見落とせば、化学者は不完全な情報に基づいて判断することになります。この課題は、新規性調査、競合分析、合成計画などの用途で特に重要です。また、複雑な構造を持つ無機化学や有機金属化学の分野では、情報の抽出や索引化がより困難であるため、その重要性はさらに高まります。
Built for chemical drawings
LG AI Researchが開発した新しい化学分野特化型AI画像認識技術は、分子検出、反応図の解析、光学的化学構造認識(Optical Chemical Structure Recognition: OCSR)を単一のモデルに統合しています。同社が公開したベンチマークopens in new tab/windowでは、文書ページ全体から化学情報を抽出する性能において既存の代替技術を上回り、さまざまな形式で表現された化学情報を読み取る技術の最前線に位置付けられています。
また、運用開始前には、各抽出パイプラインについて既存のReaxysベンチマークとの照合・検証を実施しており、処理規模の拡大によって精度が損なわれることはありません。さらに、本技術の活用に先立ち、エルゼビアのデータ基盤およびワークフローの環境において厳格な検証を重ね、精度と品質を十分に確認しています。
エルゼビア ライフサイエンス部門 マネージングディレクターのMirit Eldorは、次のように述べています。「化学者が、既に合成・報告されている物質を確認するために図や画像を読み解く作業に費やす1時間は、本来であれば新たな発見のための研究に充てられる1時間です。 LG AI Researchとの協業により、研究者は図や画像の確認作業に費やしていた時間を削減し、本来の化学研究により多くの時間を充てられるようになります。これまで画像の中に埋もれていたより多くの化学情報が、キュレーションされた検索可能なデータとしてReaxysに取り込まれ、研究者がすぐに活用できるようになるためです。図中の化学構造も、活用されないままではなく、活用可能なエビデンスであるべきです。」
LG AI Research AI Biz Transformation UnitのHwayoung Edward Lee氏は次のように述べています。「科学文献中の画像を正しく理解するには、結合や空間配置の一つひとつが重要な意味を持つ化学分野に特化したAIが必要です。私たちは、こうした複雑な視覚情報を人間の専門家に匹敵する精度で読み解けるよう、AI画像認識モデルを開発しました。エルゼビアとの協業を通じて、高度な化学分野特化型AIが、生の視覚データを研究者が活用できる構造化された知識へとシームレスに変換できることを実証しています。」
Extending the partnership
反応情報の抽出は、今後取り組みを予定しています。画像ベースの抽出対象を個々の物質から反応情報へと広げることで、Reaxysで利用できる反応情報やエビデンスをさらに拡充します。また、両社は、LG AI Researchの高度なAI技術と、エルゼビアの豊富な化学コンテンツ、科学的専門知識、キュレーション能力を融合し、顧客が抱える新たな課題の解決に向け開発を進めていきます。
本取り組みは、エルゼビアのResponsible AI PrinciplesおよびPrivacy Principlesに準拠しています。
詳細については、www.elsevier.com/products/reaxys をご覧ください。
About LG AI Research
2020年12月に設立されたLG AI Researchは、LG GroupのAIシンクタンクです。ビジネス課題への対応、最先端のAI研究、AI技術に関する倫理原則の策定と実践を通じて、AIの発展と活用を推進しています。2021年から開発を進めている独自の大規模AIモデル「EXAONE(Expert AI for Everyone)」を活用し、さまざまな産業分野でイノベーションを推進しています。
さらに、グローバルAIモデルへの依存低減を目的として開始された「National AI Foundation Model Project」の技術評価を通過し、韓国を代表するAI企業としての地位をさらに強固なものとしています。
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