生成AIを使って、研究者が必要な情報を効率的に得るには
2024年2月15日
Ian Evans別
Bruno Augusto is a PhD student at the University of Aveiro in Portugal (Photo by Michael Russo)
環境工学の研究者が、Scopus AIを試した結果、より速く、より深く、分野を超えた研究ができるようになった経験を語ります。
環境工学の研究者であるBruno Augusto氏 新しいタブ/ウィンドウで開くは、誤った情報の危険性を理解しています。そのため、エルゼビア社の新しい生成AI検索ツールであるScopus AI 新しいタブ/ウィンドウで開くのテストに携わったとき、情報の信頼性は彼が注目する優先事項の上位に挙げられていました。
リファレンス(参考文献)を確認しやすい
ポルトガルのUniversity of Aveiro 新しいタブ/ウィンドウで開くの博士課程の学生であるAugusto氏は、「このツールが信頼できると思った理由の一つは、要約を作成する元となった論文が明確に示されて、またそれらの論文を簡単にチェックできる点です。慎重にチェックする必要は依然としてありますが、このツールは引用元のすべての論文を示してくれるので、自分が必要とするものかどうか、あるいは、より良い結果があるかどうかを確認できます。Scopus AIは、必要な情報を得るまでのプロセスを大幅に短縮してくれます。」と述べました。
2024年1月に正式リリースされたScopus AIは、2013年以降に出版されたScopus 新しいタブ/ウィンドウで開くコンテンツのメタデータと抄録を利用しています。高度なプロンプトエンジニアリングと厳選された最新の論文データにより、AI が誤った情報を生成するリスクが最小限に抑えられ、信頼できる最新の知識に基づいて回答されます。世界最大級の学際的な抄録・引用データベースであるScopusの膨大なコンテンツをベースにして、信頼できるガイドを提供することを目指しています。
Augusto氏にとっての最大のメリットは、必要な論文に辿り着くまでにかかる時間が短縮されることです。
「論文内の特定の文に関する参考文献を探す場合、これまではキーワード検索を行って 10 件の論文を調べて必要なものを見つける必要がありました。ちょうど今週、参考文献が必要な文章をScopus AIを使って検索してみました。その結果から、良さそうな論文を2 ~ 3 本見つけることができました。キーワード検索で表示される 10 ~ 20 件の論文に目を通すよりも効率的です。」と説明しました。
この点を説明するために、Augusto氏は自身の最新の事例に言及しました。
「先週、私は都市部が大気汚染や排出ガスに対してより脆弱であるという論文を探していました。「排出ガス、大気質、都市部」といったキーワードで検索するのではなく、直接その言葉でScopus AIで検索してみました。Scopus AIは、すぐに引用できる論文の候補をいくつか示してくれました。そのうちの一本は私が必要としているものではありませんでしたが、もう一本はまさに私が求めていたものでした。私はその論文が本当に参考文献として適しているかどうかをしっかり確認してから、参考文献に含めることに決めました。」
生成 AI による回答のベースとなった論文を確認できる機能は、Scopus AI が研究者のためのツールとして適している理由の重要な部分です。Augusto氏は、「科学は多くの場合、文脈に大きく依存しています。例えば、自分が探していたものや期待していたものとは反対の回答をScopus AIが示した場合、その回答の元になった論文をしっかり確認する必要があります。」と説明しました。
その意味で、生成AIは、研究プロセスのいずれかの要素を取って代わるものではなく、プロセスをスピードアップしてくれる、研究者にとって有用なツールである、と同氏は述べました。
怠け者には適さない
Augusto氏は、「ユーザーには依然として批判的思考が求められるます。もしあなたが怠け者で、リファレンスを調べずにすべてが正しいと思い込んでいると、問題が発生する可能性があります。ここでもリファレンスが役に立ちます。文脈が分かるからです。どんなツールでもそうですが、何をどう使うかについて、ユーザーへの教育と批判的思考が必要だと思います。」との見解を述べました。
広さと深さ:研究分野間の垣根を越える
Augusto氏は、Scopus AI を使った経験を振り返り、最も印象に残っているのはスピード感であり、「検索プロセスが本当に容易になりました。」と述べました。また、日常的な言葉で検索できるので、研究分野間の壁を取り払うことができる点も強調しました。自身の専門分野の垣根を越えて研究することが多い彼にとって、それは非常に有益であるようです。
「科学コミュニティ全般が抱える課題の一つは、コミュニケーションが難しいことが多いということです。ある分野について知識を得るためには、まず、多くの専門用語を知る必要があります。しかし、Scopus AI を使用すれば、カジュアルな言葉を検索でき、専門用語を使用した場合とほぼ同じ結果が得られます。これは、このツールを利用する大きなメリットの一つだと思います。」
Augusto氏はまた、最初の検索結果から更に深堀りできる機能の便利さについても指摘しました。「フォローアップして質問できるGo Deeper機能は驚異的でした。好きなだけ研究トピックを深く掘り下げることができます。」と述べました。
更なる改善に向けた提案
多くのメリットがあるとはいえ、Scopus AIは新しい製品であり、改善の余地はあります。Augusto氏は、2013 年以降の研究に重点を置くことで、最新の研究に基づいた情報を提供するのは良い点であるが、より古い論文も含めることにメリットがある可能性を指摘しました。
「遡る年数を切り替えられる機能があれば面白いと思います。古い論文の多くは、後の研究の基礎となっていますから、Scopusの通常の検索と同じように、古い論文も含められると有用ではないでしょうか。同様に、被引用数で切り替えられる機能があると更に便利です。」と提案しました。
研究コミュニティとともに歩んでいく
Augusto氏の経験について、エルゼビア社のアナリティクス製品およびデータプラットフォーム部門の上級副社長であるMaxim Khan 新しいタブ/ウィンドウで開くは次のように述べています。
「利用者の皆様からのフィードバックは、Scopus AIを実現するうえで非常に重要でした。Augusto氏が指摘されたように、私たちに出来ることはまだ多くあります。より効率的に研究するのにScopus AIが役立つことや、信頼性の高いコンテンツを重視する我々の姿勢が評価されていることを聞いて、更にモチベーションが上がりました。Scopus AIの開発プロセス全体を通して、利用者の皆様の反応や、この新しいツールがどれほど高く評価されているかを聞くことができ、とても嬉しく思っています。これからも研究コミュニティとともに歩んでいくことを楽しみにしています。」
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